歯が欠損したらどうする?【歯科医師が解説】入れ歯・ブリッジ・インプラントの違いと選び方
京都西京区の佐々木歯科医院 副院長の佐々木継泰です。
突然歯を失ってしまい、「これからどうなってしまうんだろう…」「どの治療法を選べばいいのか分からない」と、大きな不安を感じていらっしゃるかもしれませんね。鏡を見るたびに気持ちが沈んだり、食事や会話がしづらくなったりと、お辛い思いをされている方もいるでしょう。
でも、どうかご安心ください。失った歯の機能と見た目を取り戻す方法は、一つではありません。この記事では、歯が欠損した場合の代表的な3つの治療法「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを、専門用語を避けて分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、ご自身の希望に合った治療法を見つけるためのヒントが得られるはずです。一人で悩まず、一緒に最適な解決策を見つけていきましょう。
歯が欠損したまま放置するのは、なぜ危険?
「1本くらい歯がなくても、特に困っていないから大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、歯が欠損した状態を放置すると、お口の中だけでなく、全身にまで様々な悪影響が及ぶ可能性があります。
- 見た目の問題: 特に前歯が欠損すると、見た目の印象が大きく変わってしまいます。
- 残っている歯への負担: 歯が1本なくなるだけで、周りの歯が倒れ込んできたり、噛み合う相手の歯が伸びてきたりして、全体の噛み合わせが徐々にズレていきます。その結果、残っている健康な歯に過度な負担がかかり、その歯まで失う原因になりかねません。
- 食事や発音のしづらさ: 食べ物をうまく噛み切れなくなったり、息が漏れて発音しにくくなったりすることがあります。
- 顔の形の変化: 奥歯の欠損を放置すると、噛む力が低下し、お口周りの筋肉が衰えて頬がこけたように見えることもあります。
- 全身の健康への影響: 噛み合わせの乱れは、肩こりや頭痛、さらには全身のバランスの歪みにつながることもあります。
たった1本の歯が、お口全体の健康、ひいては全身の健康のバランスを保つために、いかに重要な役割を果たしているか、お分かりいただけたでしょうか。大切な歯をこれ以上失わないためにも、できるだけ早く適切な治療を受けることが重要です。
歯が欠損した場合の3つの治療法
歯が欠損した場合の治療法には、主に「入れ歯(義歯)」「ブリッジ」「インプラント」の3つの選択肢があります。それぞれの治療法について、詳しく見ていきましょう。
入れ歯(義歯)
「入れ歯」は、失った歯を補うための取り外し可能な装置です。残っている歯に金属のバネ(クラスプ)を引っ掛けて固定する「部分入れ歯」と、歯が1本も残っていない場合に歯茎全体で支える「総入れ歯」があります。
【メリット】
- 保険が適用されるものが多く、比較的費用を抑えられます。
- 残っている歯を大きく削る必要がない場合が多いです。
- 外科的な手術が不要で、身体への負担が少ないです。
- 幅広い症例に対応できます。
【デメリット】
- 慣れるまで違和感や話しにくさを感じることがあります。
- 硬いものや粘着性のあるものが食べにくい場合があります。
- 固定するための金属のバネが見えてしまい、審美性が気になることがあります。
- 毎日取り外して清掃する必要があり、メインテナンスに手間がかかります。
- 長期間使用すると、ズレたり合わなくなったりすることがあります。
ブリッジ
「ブリッジ」は、その名の通り、欠損した部分の両隣の歯を土台にして、橋(ブリッジ)を架けるように人工の歯を固定する治療法です。
【メリット】
- 固定式のため、入れ歯のような違和感が少なく、自分の歯に近い感覚で噛むことができます。
- 保険適用の素材を選べば、費用を抑えることも可能です。
- 見た目が比較的自然です。
【デメリット】
- 最大のデメリットは、土台にするために両隣の健康な歯を削らなければならない点です。 一度削った歯は元に戻りませんし、神経を抜かなければならない場合もあります。
- 土台となる歯に常に負担がかかるため、将来的にその歯の寿命を縮めてしまうリスクがあります(残っている歯への影響)。
- 土台と人工歯の間に汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
- 欠損した歯の本数が多い場合や、土台となる歯がない場合には適用できません。
インプラント
「インプラント」は、歯が欠損した部分の顎の骨に、チタン製の人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
【メリット】
- 天然の歯に最も近い構造で、自分の歯と同じようにしっかりと噛むことができ、見た目も非常に自然です。
- 両隣の健康な歯を削る必要がなく、残っている歯への影響がありません。
- 顎の骨に直接力を伝えられるため、骨が痩せるのを防ぐ効果があります。
- 適切にメインテナンスを行えば、長期間にわたって安定して使用できます。
【デメリット】
- 自費診療のため、他の治療法に比べて費用が高額になります。
- 人工歯根を埋め込むための外科手術が必要です。
- 全身の疾患(重度の糖尿病や骨粗しょう症など)がある場合や、顎の骨の状態によっては治療が受けられないことがあります。
- 治療期間が他の方法に比べて長くなる傾向があります。
あなたに最適な治療法を選ぶために
ここまで3つの治療法をご紹介してきましたが、「結局、自分にはどれが合っているの?」と思われたかもしれません。治療法を選ぶ上で大切なのは、単に費用や期間だけで決めるのではなく、ご自身のライフスタイル、お口全体の健康状態、そして「これからどんな生活を送りたいか」という将来のビジョンまでを考慮することです。
例えば、外科手術に抵抗がある方や、費用をできるだけ抑えたい方には入れ歯やブリッジが選択肢になるでしょう。一方、残っている健康な歯を一本も削りたくない方や、本物の歯と変わらない感覚で食事や会話を楽しみたい方には、インプラントが非常に満足度の高い治療法となります。
佐々木歯科医院では、歯を「単なるパーツ」としてではなく、全身の健康を支える大切な「器官」として捉えています。
そのため、私たちは失った歯を補うだけでなく、
なぜ歯を失うことになったのかという根本的な原因(噛み合わせの問題や歯周病など)にも目を向け、お口全体のバランスを整えることを重視しています。
当院の副院長である私は、
噛み合わせの専門医であり 、お口だけでなく全身のバランスを考慮した精密な診断が可能です。また、インプラント治療に関しても、
インプラント専門医が担当し、歯科用CTによる精密な検査とシミュレーションを行った上で、安全性の高い治療を提供しています。
私たちは、事前のカウンセリングの時間を何よりも大切にしています。それぞれの治療法のメリット・デメリットを丁寧にご説明するのはもちろんのこと、患者様一人ひとりのお悩みやご希望をじっくりとお伺いし、専門家の視点から、あなたの未来にとって最善だと思える治療計画を一緒に考えさせていただきます。
まとめ
歯が欠損してしまった際の治療法には、それぞれに長所と短所があります。大切なのは、ご自身の価値観やお口の状態に合った、納得のいく選択をすることです。
- 入れ歯: 手軽で費用を抑えられるが、違和感や見た目の問題がある。
- ブリッジ: 固定式で違和感は少ないが、健康な歯を削る必要がある。
- インプラント: 天然歯に近く、他の歯に優しいが、費用と期間がかかる。
歯の欠損は、ご自身の健康と向き合う良い機会でもあります。一人で抱え込まず、まずは専門家である私たちにご相談ください。あなたの不安な気持ちに寄り添い、再び心から笑える毎日を取り戻すためのお手伝いができれば、これほど嬉しいことはありません。
京都府京都市西京区の佐々木歯科医院へ、どうぞお気軽にお問い合わせください。
京都市西京区の佐々木歯科医院
副院長 佐々木継泰
FAQ(よくある質問)
Q1. どの治療法が一番長持ちしますか?
A1. それぞれの治療法の寿命は、お口の中の状態やメインテナンスの状況によって大きく変わるため、一概には言えません。しかし、一般的にはインプラントが最も長持ちする可能性が高いと言われています。インプラントは、手術後の定期的なメインテナンスをしっかりと行うことで、10年、20年と長期にわたって機能することが多くの研究で報告されています。ブリッジや入れ歯も、適切なケアと定期的な調整を行うことで、長くお使いいただくことが可能です。
Q2. 治療中の痛みはありますか?
A2. 入れ歯やブリッジの治療では、歯を削る際に麻酔を使用しますので、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。インプラント治療は外科手術を伴いますが、こちらも局所麻酔をしっかりと効かせた状態で行いますので、手術中に痛みを感じることはありません。術後に多少の痛みや腫れが出ることがありますが、処方する痛み止めでコントロールできる範囲のことがほとんどです。当院では、ご希望の方には麻酔科認定医による静脈内鎮静法もご用意しており、リラックスした状態で手術を受けていただくことも可能です。
Q3. 保険は適用されますか?
A3. 入れ歯とブリッジは、使用する材料などによって保険が適用されるものと、自費診療になるものがあります。保険診療は費用を抑えられるメリットがありますが、機能や見た目に制限があります。 一方、インプラント治療は原則として保険が適用されない自費診療となります。それぞれの費用や特徴については、カウンセリングの際に詳しくご説明いたしますので、ご安心ください。