ジルコニアインプラントとは?メリットとチタンとの違いを歯科医師が解説
こんにちは。京都市西京区の佐々木歯科医院、副院長の佐々木継泰です。
「インプラントって金属を顎の骨に入れるんですよね?金属アレルギーが心配で……」——こういったご相談を受けることが増えてきました。従来のインプラントはチタン製が主流ですが、実は金属を一切使わない「ジルコニアインプラント」という選択肢があります。
この記事では、ジルコニアインプラントとは何か、チタンとの違い、メリットとデメリット、そして当院がメタルフリー治療を大切にしている理由をお伝えします。以前の記事「メタルフリー治療で美しく健康な笑顔を」でもメタルフリーの考え方をご紹介しましたが、今回はインプラントに焦点を絞ってお話しします。
ジルコニアインプラントとは——人工ダイヤモンドで作られた人工歯根

そもそもインプラントの仕組み
インプラント治療は、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。日本口腔インプラント学会でも広く認められた治療法であり、入れ歯やブリッジとは異なり、周囲の歯を削ることなく独立した1本の歯として機能します。
インプラントの構造は3つのパーツで成り立っています。顎の骨に埋め込む「インプラント体(フィクスチャー)」、インプラント体と人工歯をつなぐ「アバットメント」、そして見える部分の「上部構造(クラウン)」。この3つすべてに金属を使わないのが、ジルコニアインプラントの特徴です。
ジルコニアという素材の正体
ジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるセラミック素材です。酸化ジルコニウムを高温で焼成して作られ、金属ではありません。非常に硬く、強度と耐久性に優れています。
歯科では以前からジルコニアは上部構造(かぶせ物)の素材として使われてきました。当院でもジルコニアクラウンはブリッジなど強度が求められるケースで多用しています(臼歯のクラウンで110,000〜165,000円・税込)。そのジルコニアを、インプラント体そのものにも使用したのがジルコニアインプラントです。
チタンインプラントとジルコニアインプラント——何が違うのか

チタンの実績と信頼性
チタンインプラントは50年以上の歴史を持ち、世界中で最も多く使用されてきた素材です。骨との結合性(オッセオインテグレーション)に優れ、長期的な臨床データが豊富に蓄積されています。
チタンは生体親和性が高く、金属アレルギーを起こしにくい素材とされています。多くの方にとって安全で信頼できる選択肢であることは間違いありません。当院の症例でも、30代女性の右下奥歯2本のインプラント(チタン+ジルコニア製上部構造、総額約126万円・税込)では良好な結果が得られています。
ジルコニアのメリット
では、チタンで十分なのに、なぜジルコニアインプラントが注目されているのか。いくつかの理由があります。
まず、金属を一切使わないこと。金属アレルギーの方、あるいは口の中から金属をすべて取り除きたい方にとっては、ジルコニアが現時点で選べる数少ない選択肢です。インプラント体の素材としてメタルフリーを実現できるのはジルコニアだけですが、治療法全体としてはブリッジや入れ歯など他の選択肢もあります。
次に、審美性。ジルコニアは白色の素材なので、歯ぐきが薄い方でも金属色が透けて見えることがありません。チタンインプラントの場合、歯ぐきが退縮するとグレーの金属色が見えてしまうケースがある。前歯部など審美性が重要な部位では、ジルコニアの白さが大きな利点になります。
そして、プラーク(歯垢)の付着が少ないという特性。ジルコニアの表面はチタンに比べてプラークが付きにくいとされています。これはインプラント周囲炎の予防という観点から注目されている点です。
ジルコニアのデメリットも正直に
メリットばかりお伝えするのは誠実ではないので、デメリットもお話しします。
歴史が浅い。ジルコニアインプラントの臨床データはチタンに比べるとまだ蓄積途上です。10年、20年という長期データが少ないのは事実です。
費用が高い。ジルコニア素材はチタンに比べて高価なため、治療費も高くなる傾向があります。
ワンピース構造が多い。チタンインプラントはインプラント体とアバットメントが別パーツ(ツーピース)であることが多いですが、ジルコニアインプラントはインプラント体とアバットメントが一体化した「ワンピース」構造のものが多い。これは角度の調整が制限されるため、骨の状態によっては適用が難しいケースがあります。
こうしたメリット・デメリットを踏まえたうえで、どちらが適しているかを判断することが大切です。
私自身の臨床感覚としては、ジルコニアインプラントは「すべての方に勧める」ものではなく、「特定のニーズがある方に提案する」ものだと考えています。チタンの長い実績は大きな安心材料ですし、多くのケースではチタンで十分良好な結果が得られる。一方で、金属アレルギーへの懸念、前歯部の審美的要求、メタルフリーへの強い希望がある方にとっては、ジルコニアの価値は非常に高い。
要は、どちらが「上」ということではなく、患者さまの状態と希望に合った選択ができるかどうかが重要なんです。その判断を支えるのが、CT検査やK7マシンによる科学的なデータだと考えています。当院のジルコニアインプラントのご案内も参考にしてください。
ジルコニアインプラントが向いている方

こんな方にお勧めしています
日々の診療の中で、ジルコニアインプラントをお勧めすることが多いのは以下のような方です。
金属アレルギーと診断されている方、またはチタンに対する不安がある方。お口の中にすでに金属の詰め物やかぶせ物が入っていて、原因不明の体調不良(頭痛、肩こり、皮膚疾患など)が続いている方。厚生労働省 e-ヘルスネットでも口腔内の金属と全身の健康との関連が情報提供されていますが、歯科金属が体調に影響を及ぼす可能性は否定できません。
前歯部のインプラントで審美性を特に重視したい方。歯ぐきが薄い方で、将来的に金属色が透けるリスクを避けたい方。
口の中からすべての金属を除去してメタルフリーの状態にしたい方。当院ではメタルフリー治療への取り組みを進めており、かぶせ物やインレーだけでなく、インプラント体までメタルフリーにすることが可能です。
チタンでも問題ない方
逆に、金属アレルギーがなく、審美的な条件が厳しくないケース(たとえば奥歯で歯ぐきが十分に厚い場合)では、チタンインプラントのほうが臨床実績の面で安心感があるかもしれません。
大切なのは「ジルコニアがいい」「チタンがいい」と一律に決めるのではなく、CT検査やシミュレーション(55,000円・税込)を通じて骨の状態や噛み合わせを精査したうえで、最適な素材を選ぶことです。
当院ではカウンセリングの段階で、チタンとジルコニアそれぞれのメリット・デメリットを具体的にお伝えし、患者さまご自身が納得して選べるようにサポートしています。「先生のおすすめはどちらですか?」とよく聞かれますが、正直なところお口の状態を検査しないとお答えできません。骨の厚み、歯ぐきの状態、噛み合わせ、アレルギーの有無——こうした要素を総合的に判断して初めて、「このケースならジルコニアが向いています」あるいは「チタンのほうが安心です」とお伝えできるんですね。
費用と当院での治療の流れ

ジルコニアインプラントの費用
ジルコニアインプラントはチタンに比べて素材費が高いため、全体の費用も高くなります。具体的な金額は症状や必要な本数によって異なりますので、カウンセリングの際にお見積もりをお出ししています。
当院のインプラント治療では、まずシミュレーション(CTスキャン・血液検査・専用ソフトウェアによる分析)に55,000円(税込)をいただいています。この段階で顎の骨の状態を3Dで精密に把握し、ジルコニアが適しているかチタンが適しているかも含めてご提案します。
治療計画が確定したら「治療契約書」を作成し、費用の内訳を明示してから治療に入ります。何にいくらかかるかが不透明なまま治療が始まることはありません。
当院のインプラント症例でいうと、30代男性の方で上顎8本のインプラント(サイナスリフト両側+チタン+ジルコニア製上部構造)が上顎約650万円・下顎171万円、30代女性の方で右下2本のインプラントが約126万円でした。ジルコニアインプラントはこれらより素材費が上がりますので、具体的な金額はカウンセリング時にお見積もりします。
また、インプラント治療は医療費控除の対象となる場合が多く、年間の医療費が10万円を超えれば確定申告で還付を受けられます。デンタルローン(分割払い)を利用した場合も申請可能ですので、費用面で迷われている方はお支払い方法もあわせてご相談ください。
※自由診療は公的医療保険が適用されない診療です。費用は全額自己負担となります。
治療の流れ
ジルコニアインプラントもチタンインプラントも、基本的な治療の流れは同じです。
検査・シミュレーション → 必要に応じて骨造成 → インプラント体の埋入手術 → 骨との結合を待つ期間(3〜6ヶ月)→ アバットメント・上部構造の装着。
当院ではインプラント専門医が治療を行い、被ばく線量の少ない高画質な歯科用CT装置で術前の精密診断を行います。手術は局所麻酔で行いますが、ご希望の方には麻酔科認定医による静脈鎮静も可能です。ぼんやりと眠い状態(受け答えはできます)で手術を受けられ、術後は「あっという間に終わった」とおっしゃる方がほとんどですね。
手術後は通常の抜歯と同じお薬をお出しします。腫れは2〜3日でピーク、1週間程度でおさまるのが一般的です。インプラント体と骨がしっかり結合するまで3〜4ヶ月の待機期間がありますが、前歯の場合は仮歯を入れますので見た目に困ることはありません。
また、噛み合わせに問題がある方は、インプラントが失敗するリスクが高い。インプラントには天然歯にある歯根膜(クッション)がないため、歯ぎしりやくいしばりの力がもろに骨に伝わってしまうんです。当院ではK7マシンで噛み合わせを事前に検査し、必要に応じて噛み合わせの改善を先に行ってからインプラント治療に進みます。
当院がメタルフリー治療を大切にする理由

全身の健康を考える「ホリスティック」な視点
当院では、お口の中だけでなく全身の健康を考慮した治療を大切にしています。頭痛や肩こり、身体のだるさ、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)や難治性湿疹といった皮膚疾患——こうした全身の不調の原因が、実はご自身の体質に合っていない歯科金属にある可能性は否定できません。
だからこそ、健康のために金属を口腔内に使わないメタルフリー治療の選択肢をご用意しています。インプラント体まで金属を使わないジルコニアインプラントは、その考え方の延長線上にあるものです。
ホメオパス資格を持つ女性歯科医師の存在
当院には歯科医として日本で初めてホメオパシーの資格(ホメオパス)を取得した女性歯科医師が在籍しています。体に優しいホリスティックな治療を受けていただける環境が整っています。
金属アレルギーが疑われる方や、原因不明の体調不良が続いている方には、歯科金属の除去とあわせてホリスティックな観点からのアドバイスも行っています。
実際に、他院でチタンインプラントを入れた後に体調の変化を感じて当院にいらっしゃる方もおられます。チタンは金属アレルギーを起こしにくい素材ですが、ごくまれにチタンに対してアレルギー反応を示す方がいる。こうした場合にはジルコニアへの入れ替えという選択肢もお伝えしたうえで、検査結果にもとづいて慎重に判断しています。
お口の中の金属が全身に影響を及ぼす可能性がある——この考え方は10年前に比べるとかなり広まりましたが、まだご存じない方も多い。当院では「身体に合わない金属はなるべく早く除去して、メタルフリーにする必要がある」と考えています。
トロフィーシステムによる型取り不要の治療
メタルフリー治療の範囲は、インプラントだけにとどまりません。当院ではe.max press(従来のセラミックスの約3倍の強度を持つ信頼性の高い素材)によるかぶせ物・詰め物、ジルコニアクラウンも取り扱っています。
さらに治療期間を短縮するために、トロフィーシステム(3D光学スキャナー・設計ソフトウェア・ミリングマシンで構成されたCAD/CAMシステム)を導入しており、型取りの不快感なくセラミック修復物を作製できます。技工士が顕微鏡を用いて精密に仕上げますので、適合性にも自信があります。
メタルフリー治療の費用は、インレー(詰め物)66,000円、クラウン(臼歯)110,000〜165,000円、クラウン(前歯・変色歯)143,000〜165,000円、アンレー88,000円、ラミネートベニア88,000〜165,000円(すべて税込)。e.max pressもジルコニアクラウンも、技工士が顕微鏡を使って精密に仕上げますので、適合性と審美性の両方に自信があります。
西京区や桂駅周辺にお住まいで、銀歯を白いセラミックに替えたい方、金属アレルギーが心配な方は、インプラントと合わせてメタルフリー治療についてもお気軽にご相談ください。
よくある質問

Q. ジルコニアインプラントとチタンインプラント、どちらが長持ちしますか?
A. チタンインプラントは50年以上の実績があり、適切にメンテナンスすれば10年以上の長期使用が期待できます。20年、30年と使い続けている方も珍しくありません。ジルコニアインプラントはまだ歴史が浅く、チタンほどの長期データは蓄積されていませんが、素材としての耐久性は非常に高いとされています。
いずれの素材であっても、インプラントを長持ちさせるためには定期的なメンテナンス(3〜6ヶ月ごと)が欠かせません。インプラント周囲炎(インプラントの周りの歯ぐきが炎症を起こす状態)は天然歯の歯周病と同じメカニズムで起こりますから、毎日のセルフケアとプロフェッショナルケアの両方が必要です。当院では治療後も1〜3ヶ月ごとのメンテナンスをお願いしています。
Q. 金属アレルギーの検査は当院でできますか?
A. 金属アレルギーの疑いがある場合は、皮膚科でパッチテストを受けていただくことをお勧めしています。パッチテストの結果をもとに、当院でお口の中の金属の除去計画やジルコニアインプラントの適応についてご相談いただけます。
Q. すでにチタンインプラントが入っていますが、ジルコニアに替えられますか?
A. 当院では、チタンインプラント後に体調の変化を感じ、ジルコニアへの入れ替えを希望される方のご相談も受けています。ただし、入れ替えには既存のインプラントの撤去と新たな手術が必要になるため、慎重な検査と判断が求められます。まずはCT検査で現在の骨の状態を確認するところから始めます。
Q. ジルコニアインプラントの手術は痛いですか?
A. 手術は局所麻酔で行いますので、術中に痛みを感じることはほとんどありません。当院では麻酔科認定医による静脈鎮静にも対応しています。ぼんやりと眠い状態(受け答えはできます)で手術を受けられるので、手術に対する恐怖心が強い方にも安心していただけると思います。実際に静脈鎮静を希望される方がほとんどです。術後の腫れは2〜3日でピークを迎え、1週間程度でおさまるのが一般的です。痛みは処方する鎮痛剤で十分に対応できる範囲ですのでご安心ください。
Q. インプラント治療の費用は医療費控除の対象になりますか?
A. 機能回復を目的としたインプラント治療は、医療費控除の対象となる場合があります。年間の医療費が10万円を超える場合に確定申告で申請でき、所得に応じた金額が還付されます。デンタルローンを利用した場合も申請可能です。詳しくは管轄の税務署にお問い合わせください。
まとめ——「金属を使わない」という選択肢を知ってほしい

インプラント治療を検討する際、素材の選択まで考える方はまだ少数です。しかし金属アレルギーの方、全身の健康を考えてメタルフリーを望む方にとって、ジルコニアインプラントは大きな選択肢になります。
京都市西京区の佐々木歯科医院では、チタンとジルコニアの両方に対応し、CT検査とシミュレーション(55,000円・税込)にもとづいて一人ひとりに最適な素材をご提案しています。阪急桂駅東口から徒歩16分、JR桂川駅からバスで徒歩15分の場所にあります。金属アレルギーが心配な方、メタルフリー治療に興味のある方は、まずはカウンセリングからお気軽にお越しください。担当歯科医師のプロフィールもぜひご覧ください。
治療についての重要事項
- 治療内容: ジルコニアインプラント治療(ジルコニア製の人工歯根を顎の骨に埋入し、人工歯を装着する金属不使用の治療)
- 費用: シミュレーション55,000円、総額は症状により異なります。詳細は医院までお問い合わせください(税込・自由診療のため保険適用外)
- 治療期間・回数の目安: 一般的に3〜6ヶ月程度(骨の状態により個人差があります)、通院5〜10回程度
- リスク・副作用: 外科手術を伴うため術後に腫れ・痛み・出血が生じる場合があります。顎の骨の状態によっては治療が適用できない場合があります。インプラント周囲炎のリスクがあり定期的なメンテナンスが必要です。
- ※自由診療は公的医療保険が適用されない診療です。
- ※治療効果には個人差があります。
佐々木歯科医院
副院長 佐々木 継泰
- 国際顎頭蓋機能学会 日本部会 認定医
- 国際顎頭蓋機能学会 マスター
- 京都歯科医療技術専門学校 運営委員
- 京都市立大枝小学校 学校医
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